イールヴァーニー・イラン国連大使は4日火曜、国連の安保理議長と事務総長に宛てた書簡において、ドナルド・トランプ米大統領の発言と核をちらつかせての脅迫に対し、これらの発言を「極めて憂慮すべきもの」だとし、「これらの発言は世界の平和と安全に対する深刻な脅迫であり、国際法に基づく米国の義務への明白な違反である」と語っています。
また「米国大統領は去る10月29日にSNS上で、『米国戦争省』に対し『他の核保有国と対等な立場での核兵器の試験を開始する』よう命じ、このプロセスは直ちに開始されると公表した。その後、先月31日には米CBSの番組『60 Minutes』のインタビューで、米国だけで『世界を150回爆破できるほどの核兵器を保有している』と公言している」と述べました。
さらに「核兵器保有国の首脳によるこれらの無謀な発言と衝動的な物言いは、明らかに核兵器使用を示唆したもので、核実験再開の明確な意思表示に他ならない。この行動は、NPT核兵器不拡散条約第6条に基づく強制力ある米国の義務、すなわち核軍縮のための効果的な措置追求義務に対する明白な違反であり、米国が署名しているCTBT包括的核実験禁止条約の目的と意図、そして核実験停止の実施という米国の約束事に真っ向から矛盾する」としました。
トランプ大統領の新たな核戦略に対するイランの公式見解は、同大統領がイランの平和的核開発計画を繰り返し脅迫してきたことを考えると、理にかなったものと言えます。シオニスト政権イスラエルによる12日間の対イラン戦争において、米国がイスラエルと協力してイランの核施設を攻撃した後も、トランプ大統領は脅迫をやめず、「イランが核活動を再開した場合には軍事行動を起こす」と繰り返し警告してきました。さらに、トランプ大統領は米海軍創設記念日には「我々は22年間、イランの核施設への攻撃訓練を行ってきた…もしイランが核開発計画を再開すれば、我々はイランを再び攻撃するまでそれほど長く待つつもりはない」と警告しています。
こうした中で、物議を醸す行動の多いトランプ大統領は、米国の国際的義務に公然と違反し、核実験の再開を発表しました。これにより、世界的な緊張が高まり、核軍拡競争が激化しています。この決定は、長年にわたる米国の政策を明確に転換させるものと言えます。米国が最後に核実験を行ったのは1992年9月23日で、共和党のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)が冷戦終結に伴い核実験を停止する直前のことです。
世界は、費用のかかる核競争の新たな局面に差し掛かろうとしている模様です。トランプ大統領の核開発決定により、過去数十年にわたる軍拡競争への回帰の可能性が高まっています。核保有国、特にロシアと中国は、米国の核実験再開を機に、自分たちも同様の措置をとろうとする可能性があり、その後はフランスとイギリスの核実験再開への道が開かれることになります。一方、他の核兵器保有国も、環境に壊滅的な影響を与える核実験実施のための口実を模索すると思われます。
CTBT条約の成立と実施の重要な理由として、核実験が行われた場所、さらには遠隔地の環境にも及ぼす破壊的な影響、時には回復不能な影響が挙げられています。土壌や水質の汚染、大気汚染、放射能の存在、そしてそれがあらゆる生物に極めて危険な影響を及ぼすことから、最終的に核保有国は実際の核実験の中止及び、事実上実験室環境での実施を余儀なくされました。しかし今、トランプ大統領は核実験再開の決定を発表することで、再び地球の破壊を開始したことになります。
全体として、米国の核実験再開は広範囲にわたる影響を及ぼす可能性があります;
- ロシア、中国、米国などの核保有国間の緊張の高まり
- 軍備管理協定の弱体化と、各国による国際条約離脱の可能性の上昇
- 地域諸国の核開発計画の推進加速
- 大量破壊兵器を用いた軍事紛争のリスク上昇
- 核実験場内外、さらには遠隔地における核汚染の本格的な増加
トランプ大統領の新たな核戦略を踏まえると、危機の抑制と大量破壊兵器の拡散防止においては国際社会の役割がこれまで以上に重要になってきます。冷戦の暗黒時代への回帰を防ぐには協力、透明性、そして外交を通じた方法しか残されていないのです。
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